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2011年11月29日 (火)

『風の海峡』感想

引き続き、吉橋通夫・著『風の海峡』の話題です。下巻まで読み終えました。

この本は、豊臣秀吉が「唐入り」(初めは唐=大明国を侵略するつもりだったが、相手が巨大すぎて不可能だったので、朝鮮侵略に変更した)を企て、2度にわたって朝鮮に攻め込んだ史実を題材とした歴史小説です。

朝鮮人の幼なじみを持ち、朝鮮語にも習俗にも通じた対馬の少年(やがて青年)が主人公になっています。

ようやくにして、こういう作品が登場したんだなあという感慨。これが韓国語に翻訳されたら、向こうの人たちがどう思うか聞いてみたい気持ち(期待と不安と恐れ)。

純粋におもしろい本だったし、それ以上に歴史的な意味もある本だと思います。この素材で、ここまで現場の人たちに視点に立って、しかも読み物として読み応えのある作品が出来るとは、予想外の感動でした。

ただ、最後の章は作品から切り離して、作者の「あとがき」にして欲しかった。書かれたことに異論はありませんが、国語の時間の「作者の意図」みたいになってしまって、せっかくの余韻を味わい損ねてしまうような気がします。

とくに終わりの頁、最後の段落の4行は、ここに至るまでの全編で秀吉の野望に踏みにじられたすべての朝鮮人とすべての日本人の痛みを通して語られてきたことです。こんなふうに直接的な訓示を与えるまでもなく、読者が汲み取るはずではないでしょうか。

風の海峡 下  戦いの果てに

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