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2012年2月の記事

2012年2月29日 (水)

ロルア詩集を読みたい。『炎路を行く者』読後

上橋菜穂子さんの「守り人」シリーズ番外編、『炎路を行く者 』(偕成社)を読みました。相変わらずのおもしろさで、夢中で読んだことは言うまでもありません。ずっと待っていた本ですから。このシリーズも、予告されていた作品は全部で尽くしてしまったので、ほんとうにこれでバルサともお別れでしょう。そう思うと、読み終わるのが惜しいようでもありました。

本筋とは別に、「十五の我には」に引用されるロルアの詩がほんのりと気に入りました。

「二十の我の この目には、なんなく見える ふしぎさよ」
「あの日の我に会えるなら、五年の月日のふしぎさを 十五の我に語りたや」

ヒュウゴもバルサも十代半ばです。彼らの少年少女時代を語った作品集のしめくくりに、これ以上のふさわしい詩はないでしょう。

ロルアさんは守り人の世界の住人でしょうから、この世界の出版界では『ロルア詩集』は刊行されていないでしょう。ここはぜひとも、上橋菜穂子さんに日本語訳をお願いしたいと思います。ジグロに「味のある詩」と言わせたロルア詩集は、『バルサの食卓』と同じように世に出る値打ちがあると思うのですが、そういう企画は持ち上がらないものでしょうか。

上橋さんお一人では忙しいでしょうから、全国の15歳の心を憶えている大人たちが1編ずつ「翻訳」して、上橋菜穂子さんが監修するといったぐあいに『ロルア詩集』が上梓されないものでしょうか。

などと、無責任に勝手なことを言い放っておりますが。

炎路を行く者 —守り人作品集—

2012年2月25日 (土)

数年ぶりのリカバリ

すっかりご老体となった我が家のWinXPが、近頃しんどそうに仕事をしているので、思い立ってリカバリすることにしました。そろそろ買い換え時かもしれないけれど、まだ動いているし、いざというときにはモバイルパソコンもあるので、もう少し使い続けるつもりでいます。

XPのSP2が出てすぐに買ったパソコンです。数年ぶりにリカバリをすると、OSのSPも2から3へ、ブラウザもIEの6から8へ、あれもこれも一から入れ直さなくてはならないものがあって、振り回されました。

まず、なにはともあれウィルスバスターを最新にしようと思ったところが、IEのバージョンが6ではだめだと言います。それなら8にバージョンアップしよう(どうせすることになるのだから)と思って取りかかると、あれを入れろ、これを入れろとなかなか喧しいことを言います。ウィルスバスターを最新の状態にするまでに大回りで四苦八苦しました。

あとはゆっくりと周辺機器をつないでいくだけです。プリンタもスキャナもwin7に対応していないので、当分はXPに現役でがんばってもらわなくては困ります。

誤算だったのは、リカバリすれば見違えるように快適に使えるようになるかと期待していたのに、思っていたほどには軽く動作しませんでした。やはり今時のサービスを使うには、スペックが低すぎるのでしょうか。

もう少し、ドライバだのソフトウェアだのを入れて環境を整えなくてはならないので、ここ数日は、やりたいこともやれないでいます。

2012年2月19日 (日)

【註】が楽しい『もう一つのシアター!』

有川浩脚本集 もう一つのシアター! 』(メディアワークス文庫)を読了しました。本編の『シアター!』と『シアター!〈2〉』がおもしろかったので、「シアター!」シリーズならもう見逃せない気持ちでした。

手にしてみると、ただの番外編ではなく脚本集。本編でも出てきた劇中劇「掃きだめトレジャー」の公演をするシアターフラッグの面々。その公演をめぐる舞台裏のお話です。

小説でもドキュメンタリー(どこかの小劇団の実話とか)でもなかったのが予想外で、ちょっとめんくらいながらページをめくってみます。

読み物としては普通におもしろかったけれど、場面の区切りにつけられた【註1】【註2】……(【註70】まで)に格別の味わいがありました。

裏話が満載で、ここが意外にも受けた、ここで思いがけず笑いが起きた、誰がどういう演技をした……等々。やっぱり私も演劇好きの人間です。やっていたころを思い出し、「分かる、分かる」とうなずく感じです。

巻末対談で、第3巻で完結すると作者が述べられていました。生の舞台に参加した経験をどんなふうに完結編に反映されるのか、注目して待ちたいと思います。

 もう一つのシアター!

2012年2月 5日 (日)

2011年に出会った本から(歴史編)

1月のうちに決着を付けるつもりだったのに、2011年の話題を2月に持ち越してしまいました。

2011年に読んだ歴史の本の読書傾向では、古典的な本をたくさん読んだのが特徴的でした。

末松謙澄『防長回天史』復刻(マツノ書店)

中原邦平『忠正公勤王事績』復刻(マツノ書店)

平野秋来『長州之天下』復刻(マツノ書店)

一坂太郎『幕末歴史散歩 京阪神篇』(中公新書)

一坂太郎『長州奇兵隊―勝者のなかの敗者たち』(中公新書)

初めの3冊は歴史的な証言の書です。

末松謙澄は長州藩の敵側であった小倉藩の出身ながら、伊藤博文との縁で、毛利氏の資料を使って長州藩の歴史を編纂することになり、比較的客観的な視点から、近い過去の内戦の時代を、簡潔で力強い文章にまとめました。読了したのはまだ第1巻だけです。

中原邦平は毛利の家臣として忠正公(毛利敬親)の立場に沿った視点から、講演の記録という口語体で第一級の歴史証言を残しました。大正時代の講演なので、幕末の意識そのままではありませんが、明らかに長州びいきのところはあります。とはいいながら、他には残されていない貴重な証言が多く見られます。

歴史の専門家が著した本に出てくる詳しい逸話の数々は、たいていがこれらの本に書いてあります。古文書をひもとかなくても、復刻版の活字の文章を読みさえすれば、我々も歴史評論家なみに幕末の逸話を語ることができるようになるでしょう。歴史観のない知識は、ただの雑学に過ぎませんが。

『長州之天下』というのは、偉そうな題名とは裏腹に、維新後の栄華とは縁もゆかりもなく、山口県内でうらぶれていた人たちの記録です。山口県民は「7人の宰相」など景気のいい話を好みますが、こういう不遇な人の方が多かったというのが実態のようです。著者は大阪の記者(?)のような立場の人で、長州関係者ではなかったと思います。政治的背景のないルポルタージュです。

一坂太郎さんは現在活躍中の人なので、新しい歴史観によって書かれた一般向け幕末歴史入門書になっています。研究の本拠地として山口県に在住されていますが、兵庫県の出身で、いわゆる「長州人」ではありません。その点、佐幕派の子孫も、会津人も、先祖の恨みを気にせずに読めるのではないかと思います。

『幕末歴史散歩 京阪神篇』には、姉妹編として『幕末歴史散歩 東京篇 』(出版はこちらが先)がありますが、東京篇はまだ読んでいません。自分の興味が京阪神の幕末にあったので、あとから出た方を先に読みました。

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