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2012年2月 5日 (日)

2011年に出会った本から(歴史編)

1月のうちに決着を付けるつもりだったのに、2011年の話題を2月に持ち越してしまいました。

2011年に読んだ歴史の本の読書傾向では、古典的な本をたくさん読んだのが特徴的でした。

末松謙澄『防長回天史』復刻(マツノ書店)

中原邦平『忠正公勤王事績』復刻(マツノ書店)

平野秋来『長州之天下』復刻(マツノ書店)

一坂太郎『幕末歴史散歩 京阪神篇』(中公新書)

一坂太郎『長州奇兵隊―勝者のなかの敗者たち』(中公新書)

初めの3冊は歴史的な証言の書です。

末松謙澄は長州藩の敵側であった小倉藩の出身ながら、伊藤博文との縁で、毛利氏の資料を使って長州藩の歴史を編纂することになり、比較的客観的な視点から、近い過去の内戦の時代を、簡潔で力強い文章にまとめました。読了したのはまだ第1巻だけです。

中原邦平は毛利の家臣として忠正公(毛利敬親)の立場に沿った視点から、講演の記録という口語体で第一級の歴史証言を残しました。大正時代の講演なので、幕末の意識そのままではありませんが、明らかに長州びいきのところはあります。とはいいながら、他には残されていない貴重な証言が多く見られます。

歴史の専門家が著した本に出てくる詳しい逸話の数々は、たいていがこれらの本に書いてあります。古文書をひもとかなくても、復刻版の活字の文章を読みさえすれば、我々も歴史評論家なみに幕末の逸話を語ることができるようになるでしょう。歴史観のない知識は、ただの雑学に過ぎませんが。

『長州之天下』というのは、偉そうな題名とは裏腹に、維新後の栄華とは縁もゆかりもなく、山口県内でうらぶれていた人たちの記録です。山口県民は「7人の宰相」など景気のいい話を好みますが、こういう不遇な人の方が多かったというのが実態のようです。著者は大阪の記者(?)のような立場の人で、長州関係者ではなかったと思います。政治的背景のないルポルタージュです。

一坂太郎さんは現在活躍中の人なので、新しい歴史観によって書かれた一般向け幕末歴史入門書になっています。研究の本拠地として山口県に在住されていますが、兵庫県の出身で、いわゆる「長州人」ではありません。その点、佐幕派の子孫も、会津人も、先祖の恨みを気にせずに読めるのではないかと思います。

『幕末歴史散歩 京阪神篇』には、姉妹編として『幕末歴史散歩 東京篇 』(出版はこちらが先)がありますが、東京篇はまだ読んでいません。自分の興味が京阪神の幕末にあったので、あとから出た方を先に読みました。

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